インドア日記

ひきこもり系オタクの二次元記録用ブログ。アニメやゲーム、読書の感想を書いています。たまに日記的なものも。

映画感想『この世界の片隅に』 

 私は王様のブランチの映画コーナーが好きで土曜の朝大抵見ているのだけど、映画コーナーのランキングでこの映画は長い間上位にランクインしていたことを覚えている。

 なんでも口コミでジワジワと人気が出たらしく、満足度ランキングでも1位をとったらしい。だったら絶対面白いだろう、何かを心に残してくれる映画に違いない…という身勝手な期待と共に、一週遅れてこの映画を見てみることにした。

 

(※ がっつりネタバレあります。見たくない人はプラウザバックをお願いします!)

 

 

 

この世界の片隅に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 映画を見終わった感想としては、とてもよかった。不思議な雰囲気の映画だった。

 …語彙力のないオタクで申し訳がないが、見てよかったと思えた映画だった。

 良かった点はたくさんあるのだけど、とりあえず私が感じたことを書いていこうと思う。

 

 

(1) くすっと笑えてほんわかとした雰囲気。

 

 戦争が起こっていた時代を扱った物語なんだけど、悲惨さを感じさせられなかった。

 いや大変な目にはあっている。主人公のすずさんは、戦争が始まっている中実家から遠く離れた場所、ほぼ知らない人のところに嫁入りをし、優しい人ばかりではなく、出戻ってきた旦那の姉はきつく慣れない生活を送ることになる。(お姉さんもいい人ってわかるんだけどね) 

 けれど、すずさんのぼーとして不器用な性格か想像力豊かなおかげか、悲惨さを感じない。彼女の行動、言動、毎日の創意工夫でくすっと笑えて、ほんわかとした雰囲気に包まれている。

 序盤も、人さらいのばけもんが出てきたり座敷童が出てきたりして、「あれ見る映画間違えたか? すずさんは妖怪が見える力を持つって設定だったか」と思ったりした。

 特に説明はなかったけれど、個人的には実際にあったことをすずさんの想像力で覆われているだけなのかな、と思った。

 

 

(2) 丁寧に描かれながらも、淡々と流れていく日常。 

 

 時代背景とか当時の生活などが丁寧に描かれている印象を受けた。昔の人はこんな生活をしていたんだ~というのがわかって、おもしろかったなあ。

 また日々の日常は淡々と描かれていた。段々と戦争が激しくなって、生活が厳しくなったり誰かが亡くなっていくけれど、そういうシーンが「泣くところだぞ!」と押されているわけでもなく、さらりと流れていっていた。

 すずさんの姪の晴美ちゃんが亡くなり、すずさんもまた右手を無くしたシーンは他と違って起伏があるように感じられた。この出来事がすずさんの、この映画のターニングポイントだと思うのだけど、それでも他の映画に比べると随分とあっさりとしていたように思う。

 でもそういうのが日常かもしれない。それでも生きていかないといけない、というのを感じてしまった。

 

(3)「泣くところ」が無いけれど、涙が出てきた。

 

 この映画は「ほら感動ポイントつくったから! ここ泣けるシーンですよ!」というものが無い。生活は大変だろうに悲惨な状況だろうに、日々は丁寧ながら淡々と描かれている。

 それでも丁寧に描かれているせいで、中盤以降すずさんが右手を無くしてから戦争が激しくなっていくにつれて、瞳がウルウルしてしまった。年で涙腺が緩くなっただけかもしれないけど。

 晴美さんが死にすずさんが右手を無くしたことで、くすっとできてほんわかとした日常が無くなってしまったからかもしれない。彼女の「ぼーとした」ところが消えて、これが戦争中だということをつきつけられたからかもしれない。

 さらに見ているこちら側はこれからどうなるか史実として知っている。だから嫌な予感しかしないのだ。

 

(4) 生きていてよかった、周作さん!

 

 絶対死ぬと思っていた周作さん。

 もう存在自体からフラグがたちまくりだったけど、いや、彼は最後まで生きていてくれた。

 この映画、周作さんとすずさんが段々と仲良くなっていく過程が良くて、二人がイチャイチャしているシーンなんかニヤニヤしてみてしまった。 

 最初ぎこちなかった二人が夫婦になっていくのが微笑ましかったし、中盤から見ていてつらくなるときも、周作さんが現れると、すずさんと同じように見ているこちらもほっとできた。

 

(5) のんの声が「すずさん」だった。

 

 すずさんの中の人は、のん。

 私はドラマ滅多に見ない人間で、彼女が出ていたドラマや映画見たことないので演技わからないけど、すずさんの声はよかった。彼女のぼーとしている性格が声にもにじみ出ていた。

 アニメ映画で芸能人が声を当てているものを聴くと、聴いてすぐに「ゲスト声優」だっていうのがわかったりする。どうしてかはわからないけど、声優さんに囲まれていると浮いているのを感じてしまう。逆に声優さんの声の場合、年季の入ったオタクになると声を聴くだけで「今の声○○だ!」ってわかる。

 今回のすずさんを演じていたのんの声はその中間ぐらいで、ゲスト声優っぽさもなくかといって、のんの声だと感じなかった。すずさんの声としてすーと映画に入れたと思う。これが演技力ってやつなんだろうか。

 

 

(6) それでも生きていくということ。

 

 この映画を見て感じたのは、『それでも生きていく』ということだ。

 すずさんは作中の中でいろんなものを失っていく。自分の右手も、晴美さんも、家族も無くしてしまったけど、それでも生きていく姿が描かれていた。 

 終盤までその姿は痛々しい。けれどラスト、広島の子供を北條家に向かい入れるシーンを見たとき、彼らの未来は続いていくんだなと思った。北條家の人間は晴美さん以外欠けていないし、すみちゃんの腕にあざが浮かんでいるシーンでこれからも悲しいこと避けて通れないと思わせられるが、灯りの覆いを取り外したように、これから先は開けたものであるように思えた。

 

 

 

 冒頭で、何か心に残るかもしれないと勝手な期待を寄せていたと描いたけれど、その答えとしては、確かに残った。いい映画だった。 

  戦争を舞台にした映画と聴くと、どうも小学生の時夏休みの登校日に見せられたテレビや『火垂るの墓』を連想して、つらくなるから見るのやめていたレベルだけど、この映画は切り口がおもしろいし、すずさんのキャラクターやほんわかとした雰囲気に引き込まれて、見やすかった。

 多分私と同じ人は多いと思うんだけど、そういう人にもオススメできる。勝手にオススメします。