感想『幼年期の終わり』 色々な作品の元ネタが感じられてオタクは一度読んでおいた方がいいと思った作品。
読書の趣向を変えて「タイトルは知っているけど内容は知らない」本を読んでみたいブームになっています。
それでこちらの『幼年期の終わり』、有名なSF作品で色々な作品の元ネタ(自分が知っている限りでは、エヴァンゲリオン、ゼノギアス、ガンダム00映画…かな?)になっているのは知っていたんですが、読んでみたことが無かったので、読んでみることにしました。
オーヴァーロードという宇宙人が地球にやってきて、オーヴァーロードに支配された人類。支配を受け入れてから争いのない平和な時代が訪れ、人類が進化して終わりを迎えるまでの物語だった。
ラストが衝撃的。色々な作品の元ネタになっていると言われている作品だから巡り巡って「もう見た」という逆転現象になるのでは…?と危惧していたけれど、全然そんなことは無かった。古臭さもあまり感じなかった。
三部構成になっていて、最初はオーヴァーロードの総督カレランと人類代表になっている国連事務総長のストログレンとの奇妙な友情みたいなものも感じられて面白かったし、世界もオーヴァーロードに支配されて戦争が無くなり、食糧問題など色々な問題も解決して人は余暇に没頭できるようになって、めちゃくちゃいいじゃん…と思ったりもした。けれど次世代の子供たちが生まれてくるようになって…人類が進化してしまった辺りからホラーを感じてしまった。
人類という主人公のお話だったのかな、と思うけれど、オーヴァーロードたちの事情もわかっていくにつれ、カレランたちオーヴァーロードのお話でもあったように感じられた。
オーヴァーロードたちは人より優れた「個」の種族であったけれど、オーヴァーマインドという精神共同体(…で合ってるかな?)の命令を聴く、隷属した存在。彼らは「個」として人類よりも優れているけれど可能性が無い…らしい。人類はオーヴァーマインドの仲間入りを果たすことができるけど、オーヴァーロードたちはそれができない…。
若者としての人類 ⇔ 老人としてのオーヴァーロード
「個」「物質」としてのオーヴァーロード ⇔ 「共同体」「精神」のオーヴァーマインド
…かなあ…? こういう対比がうまくできているなあ…と思ったりした。
私も一介のオタクの端くれですが、読んでよかったです。
自分はガンダム00にはまってオタクとして覚醒してしまった人間なのですが、ガンダム00の劇場版は面白かったんですけど、やっぱり地球外生命体が出てきたときはびっくりしたんですよね…。でも『幼年期の終わり』を読んで色々なことがしっくりしました。
圧倒的な力で争いを根絶させる…という冒頭は人がやったか宇宙人がやったかの違いで同じなんですよね…。
でもソレスタルビーイングによる「来たるべき対話」のための猶予期間があったおかげで、映画版のラストにつながっていったんだな…と。
その猶予期間が無かったら、『幼年期の終わり』のようなエンドになっていたのかな…なんて空想もしました。
ゼノギアスは何だろう…。カレルレンというキャラクターがいるところが一番わかりやすいかなと思うのですが、人が部品だった…とかゾハルとか…元ネタがどこだろう…。ゼノギアス一度遊んだことがあるのですが、もう一回ストーリー読みたいなーと思ってしまいました。
こうやって「あの作品のあそこって…」と感じることができたので、オタクは一度読んでみても損がないお話だと思います。