映画感想『パプリカ』 やべえ方のパプリカって言われているけど、視聴後は晴れやかな気分になれる傑作。
やべえ方のパプリカ。
米津玄師じゃない方。平沢進の音楽が流れている方。恐怖のパレードが来る方。
「オセアニアじゃあ常識なんだよ」の方。
※ネタバレあります。
実は視聴は二度見である。子どもの頃に一度見てみたことがある。
話の内容はさっぱりわからなかったが、一度しか見たことが無いのに覚えているシーンがけっこうあった。それぐらいのやべえ映像をしている。
(特に印象に残っていたのは、蝶の標本よろしくパプリカが拘束されて、ピーとされるところです)
見終わると子どもの頃の自分は、よく日本人形にトラウマを持たなかったものだな･･･と思った。妙な怖さを日本人形に感じている人は多いと思うけど、日本人形の怖さ、効果的に使われてる。
やべえやべえと言っているが、大人になり大分話の内容を理解できるようになってから見ると、話の筋はけっこう王道だった。
･･････嘘つきました。作中に出てくる小難しい説明は理解できていません。
でもそれを取っ払っても、大人の成長物語だった。
パプリカ/千葉敦子は、時田浩作の発明した夢を共有する装置DCミニを使用するサイコセラピスト。ある日、そのDCミニが研究所から盗まれてしまい、それを悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するようになる。敦子達は犯人の正体・目的、そして終わり無き悪夢から抜け出す方法を探る。*1
DCミニの犯人を追っていく流れは、最初犯人だと思われていた人物は実は違って黒幕がいた･･･という二時間ドラマのような王道な展開でわかりやすかった。
その事件の犯人を追っていく中で、パプリカに治療を頼んでいた粉川警部はトラウマを乗り越える流れになる。
千葉敦子は自分自身でもあるパプリカと何故か分離しているようだったけど(何故かはわからない。素直になれなかったから自己を抑圧する反動でパプリカが自由奔放になったのかなあ？)、トラウマを乗り越えた粉川警部に助けられた後、悪夢に飲み込まれた時田を助けにいくことで素直さを取り戻し、ラストはパプリカと一体化。
一つになって、新しく生まれた赤ん坊がラスボスを飲み込んで、悪夢に浸食された現実を元通りにして終わった。
･･････と、途中から何書いているのかわからなくなったけど、見ればわかる･･･。見ればわかるから･･･
要するに大人の成長物語でもあり、ラストは「ああ、よかったね」で終わる映画なのだ。
ストーリーの骨格は大人の王道成長物語なのだ。ここはやばくない。
じゃあやべえのは何かというと、周りの肉。調味料なんだと思う。
やっぱり映像がやべえ。極彩色の悪夢と言ってもいいと思う。
見ているだけで不安になる。
悪夢が浸食してくるという内容だから、悪夢要素がてんこ盛りなんだけど、この悪夢が「何か見たことあるかもしれない」とデジャブを感じたところもある。
そして「どうしてこんな映像思いつくの？」っていうぐらい、気持ち悪いけど目が離せないという強烈なシーンが多い。
バックに流れる音楽もさらに見ているこちらの不安を盛り上げ、悪夢に飲み込まれた人間の支離滅裂なセリフは、聴いているだけで「あ、やべえ」と思わせられる。
どうしてこんなセリフ、書けるんだろう･･･。不思議だ･･･。
そんな、欲張り「やばい」セット(大盛り)なのだ。
ここまでやばいやばいと書いてきたが、上述したとおり王道物語なのでストーリーはわかりやすい。
作中で言っていることは小難しいが「あー、そういうことね、完全に理解した(わかってない)」というポプ子スタイルで見ていても、ちゃんとストーリーについていける。
突飛な映像、ラスボス撃破するときのパプリカのセリフ、ラスボス撃破のやり方も「？」となっても「夢だからな」と納得することが出来る。そして視聴者がぽかんとなっても作中のキャラも同じくそうなっているので、隙が無いのである。
(･･･ちょっと黒幕の目的とか理想はわかりにくかったかな、ぐらいです)
リアルな映像。アニメでしか再現できないんじゃ無いかなという映像美。大人の成長物語。視聴後は爽やかな感動を感じたので、エヴァとかいけるならパプリカも金曜ロードショーに行けるんじゃ無い？ もっと色んな人がこの映画を知るべきじゃ無い？ 皆、やべえパプリカを知った方がいいんじゃない？ と思ったりしたのですが、最後に巨大化主人公の全裸が出たので、地上波ではやっぱりダメだと思いました。
米津玄師のパプリカもいいけど、こっちも見て。
やべえ方のパプリカも見て。
