インドア日記

ひきこもり系オタクのアウトプット置き場。アニメ、ゲーム、読書感想など。思いついたことを書いたりしています。

映画感想『すずめの戸締まり』

suzume-tojimari-movie.jp

 

 ほとんど映画館で映画を見に行かない人間なんですけど、黒髪ロン毛イケボ青年が気になりすぎて映画館に足を運んでしまいました。

 

 ※ネタバレ感想です。

 ※小説や入場特典などを読んでない、映画本編を一度見た感想です。

 ※まだ見ていない方、ネタバレを見たくない方は注意してください。

 

 

 

 

 すずめは学校へ登校する途中、旅の青年・宗像草太に出会う。「扉を探している」という彼に、扉がありそうな場所として「廃墟」の場所を教え別れるも、気になったすずめは「廃墟」に自分も行ってしまう。そこで不思議な扉を見つけ、扉付近に刺さっていた謎の石を引っこ抜いてしまう。扉からあふれた「ミミズ」が地震をもたらすも、草太と二人で扉を閉め鍵をかける。

 草太は災いをもたらす「後ろ戸」を閉める「閉じ師」の青年だった。しかし草太は突然現れた白猫によって、すずめの持つ子ども用のイスに姿を変えられ、二人は白猫・ダイジンを追いかけ、旅をすることになる。

 

 というのがおおざっぱなあらすじです。草太さんの顔面狙いで行ったら、早々イスに姿を変えられるなんて思いも寄らなかったです。「このクソ猫が!!!可愛い声で許されると思うなよ!!!」と思いました。

 

 

 

 この『すずめの戸締まり』という映画、私は前情報をTVの紹介でしか得ていなかったんですけど、災害および東日本大震災の映画でした。(公式HPを見ると、地震描写や緊急地震速報のアラームが流れる・・・とちゃんと書いてありました)

 冒頭から建物の上に船が乗っているシーンが映し出されたのを見て「あ・・・(察し)」となりました。なんとなく、すずめちゃんが震災被災者であることがわかりました。詳しく説明されなくても、小さいときの彼女の日記帳に書かれている日付「3.11」で確信してしまうのが、ゾワゾワした感覚になりました。

 

 この映画の妙に記憶に残ったシーンとして、震災に遭ったすずめちゃんの故郷に戻ったとき「ここってこんなに綺麗だったんだなあ」と言った芹澤に反して、すずめちゃんが「ここが綺麗?」と言うシーン。当事者と部外者間の違いが出ていて、ハッとさせられてしまいました。

 私は被災者ではない部外者の立場の人間なので、おそらく芹澤と同じ反応をするだろうな・・・と思ったのです。

 

 災いをもたらす「後ろ戸」を閉めるとき、その土地や人々に思いをはせながら閉めないといけないようで、実際「後ろ戸」を閉める際に、災害が起こる前のその土地に住んでいた人々の何気ない日常シーンが流れてきます。

 私が一番この映画でハッとさせられたのは、この震災前の何気ない日常シーンなのかもしれません。

 震災があったことで、その土地のイメージが「震災」と切っても切り離せないものに塗りつぶされてしまっていたことに気がついたのです。

 震災がある前は、普通に人が何気ない生活を送っていた土地だったのに。自分の周りと変わらない日常を送っていた土地であったということが、いつのまにか自分の中では「震災」という記憶に乗り潰されてしまっていたということに、気づかされてしまいました。

 

 

 映画では、イスに変えられた草太さんとすずめちゃんがダイジンを追いながら、各地の後ろ戸を閉めていき、後半では草太さんを救うために、すずめは震災があった自分の故郷に戻り、過去を見つめ直します。

 最後には扉を開けて、母を探すうちに「常世」に迷い込んでしまった過去の幼いすずめを励まします。

 この母親を探している幼いすずめのセリフが、めちゃくちゃ涙腺を刺激させられて本当に泣くかと思った・・・。

 幼いすずめに、現在のすずめが言う言葉が「必ず明日が来る」(細かいセリフ忘れました・・・)というものなんですけど、このセリフ、作中で視聴者である自分はすずめちゃんを見続けているので、ただの励ましではないのだとわかります。事実です。

 今が大変でも、すずめちゃんは大きくなり、好きな人ができて、その人を追いかけて今ココにいるんだから。

 やまない雨はない。ずっと同じ状況のまま続くってことはあり得ない。

 そんな当たり前の事実、しかしどん底な状態にいるときには気づかない事実を、お母さんでも草太さんでもないすずめちゃんが、幼いすずめちゃんに語っているのが、良かった。

 

 

 

 

 ここから先は、オタクの長文・・・キャラ語りです。

 

 

 前述したとおり、釣られて映画に見に行くほど気になっていた草太さんの顔と声よかった。私、松村北斗くん全然知らなかったんですけど、声良かった。草太さん、教員志望の大学生ですずめちゃんに対しても「すずめさん」呼びで、大人な性格をしているのですずめちゃんを気遣ったりと、すごくいい青年だった・・・。

 すごくいいヤツ――この映画、嫌なキャラクターはいないのですが――はもう一人いて、それが草太さんの友人の大学生、芹澤。

 外見はチャラい眼鏡青年だけど、草太さんを心配して、後半では東京から東北まですずめちゃんと環おばさんを車で連れて行ってくれる・・・という。事情を知らないままで車に乗せて行ってくれる。良い奴。選曲が懐メロ。

 声は神木隆之介くん・・・なんですけど、キャラと本人がマッチしなかったので全然気がつかなかったんですけど、低音の神木くんのボイス、演技すごくよかった。一時期アニメ映画の主役神木くんばかりで、素朴な主人公少年ばっかり聴いていたので、今回の配役はめちゃくちゃ意外でした。

 他にもキャラクターには俳優さんが使われていましたが、前情報なく見たので全然気がつかなかったし、キャスト欄を見て初めて「あの人やっていたんだ」と気づきました。キャラクターと本人が似ているという意味の「キャラに合っている」というより、皆さんの演技が「キャラに合っているな~」と思いました。

 

 

「君の名は」でも主人公の二人に気ぶり爺と化しましたが、今回の「すずめの戸締まり」のすずめちゃんと草太さんは、「君の名は」と同じかそれ以上に、そのあとの二人はどうなるか・・・めっちゃ気になります。

 

 2022年もそろそろ終わるっているのに、今年一番自分の中でキャラも内容もクリティカルヒットした作品かもしれません。