インドア日記

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読書感想『雨に添う鬼 武市と以蔵』

 

雨に添う鬼 武市と以蔵

雨に添う鬼 武市と以蔵

 

 

 以蔵さんが出てくる本を追い求める今日この頃、ちょうど良い小説を読みました。

 

 

 こちらの小説の以蔵さんは「ヤンデレ味があるよ」という情報を前もって知っていて、そのうえで読んでみたのだけど、けっこうこじらせていた。

 

  

 

「上士」「下士」という身分制。足軽下士の以蔵は上士から唾を吐きかけられても何もできない。黒船襲来で時代は変わり、冒頭の以蔵は剣がやりたくてもできない状況だった。

 そこで以蔵は武市半平太と出会い、武市に才能を見出される。その出会いから以蔵の青春時代が始まるけれど、尊敬する先生に出会い自分が認められていると満たされている分、その後の展開が切なかった。

 二人の擦れ違いっぷり、相互不理解が切ない。

 

 

 武市は志士として目覚めていくが、以蔵は志士として「国のために」という考えを持つことができない。

 しかし尊敬する武市先生のため、認められたい褒められたいために人斬りを繰り返す。学が無い分、ますます人斬りとして貢献したいと考えるようになる。

 武市は以蔵にも自分と同じ視点を持ってほしいと考えていたが、「国のために」ではなく自分のために、天誅を繰り返す以蔵を受け入れることができない。自分にすがる以蔵を煩わしく思うようになる。しかし愛弟子の以蔵に情があり、完全に突き放すことができないでいる。

 冒頭が綺麗な分、時が経つにつれ、二人の内面が複雑に…ぐちゃぐちゃになっていくのが読んでいて悲しかった。

 最後の最期まで二人は理解し合うことができずに、史実通りのラストを迎えてしまった。

 

 

 時代の流れと二人の心情がしっかり描写されていて、内面が簡単に説明できないほどぐちゃぐちゃだ~と思いながら読んでいたけど、最後まで読んでみると始まりは単純で、以蔵は武市先生に人間的に惚れたのだろう。

 だからかな。作中でも以蔵は龍馬から「武市と離れないと駄目になると」と説得され、以蔵も駄目になるとわかっていながらも、離れられることができなかった。

 そして最後の最期、処刑前になって「もっと自分の人生を生きればよかった」と理解する。その後の辞世の一句が晴れやかで綺麗で切なかった。

 

 

 

 

 

 表紙がBLっぽく見えるからどきどきしたけど、そっち系の分野の話ではなくちゃんとした時代小説だった。

 この表紙が嫌いなわけではないのだけど、どうしてこのチョイスにしたのかちょっと疑問。