感想『ジーギル博士とハイド氏』 ★★★★☆
- 作者: ロバート・ルイススティーヴンスン,Robert Louis Stevenson,村上博基
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/11/10
- メディア: 文庫
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幼いころ、変身して人格が変わるキャラにときめきを覚えてから、多重人格キャラにドキドキする傾向のあるオタクです。
そんなオタクはとうとう、多重人格ものの先駆けとも言われるこの古典作品を読みました。
海外翻訳なので、ちょっと読みにくいな…と思うところも多々ありましたが、短くサクっと読み終えることができました。
ぶつかってきた女の子を踏みつけるということを平気でするハイド。
そんなハイドを「自分に何かあったら全財産をゆずる」という法定相続人にしたジギル博士。
弁護士のアタスン氏はジギルはハイドにゆすられているのでは…と危惧する。
二人の関係性は一体!?
…という話で、怯える登場人物たちに怪奇小説的なものも感じられましたし、ミステリー小説とも感じました。
しかし現代を生きる自分は、
ジギル=ハイド
という最大のネタバレを知っているので、びっくりが半減してしまったのが残念かもしれません…。しかしこのネタバレを知っているからこそ読んでいて、「あ、ここ伏線だ!」とわかり、怯えるキャラの心情もなんとなくわかるので「ああ、最後のジギルのネタバレ手紙を読んで、ネタバレを知らなかったらええ~!!となって、読み返したら伏線の存在がわかって、もっとすげえ…と感じるところだったんだろうな…」と思ってしまったから余計に残念に感じてしまったのかもしれません。
原作を読むまで、二重人格の話で「ジギルが薬を飲んでハイドになる」程度しか知らなかったのですが、変身ものとして読んだ方がいいかもしれません。
ジギル博士は50ぐらいの医師であり、薬を飲んで小柄な若者であるハイド氏に変身する…という設定でした。
どうしてハイドは若者かというと、薬によって分離させた悪は今までジギルが押さえつけていて成長していなかったから…と私は読みました。
そしてこのハイドの顔を見た人たちが皆、簡単に言うと「嫌な顔」をしていたというのが印象的。
人間から良心や倫理観などを取っ払ったら、ドンとぶつかってきた女の子に「イラッ」と感じたまま踏みつけることもできるだろうし、そんな衝動的な人間を見たら、きっと生理的に嫌悪感を覚えたり本能的に恐怖を覚えてしまうんだろうな…。それらがきっと「嫌な顔」として見えるんだろうな…と思いました。
でもジギルとハイドの人格は完全に分離していたのか? とか。
最後の声は体はハイドのものだったけど口調はジギルっぽくて、一体どっちだったんだろう…とか。色々わからないところもあるので、もう一度読み直したい気持ちです。話の流れを知った上で読むと新しい気づきがあるかも。できれば違う翻訳バージョンで…。