漫画感想『煙と蜜』
花塚姫子12歳、土屋文治30歳。ふたりの関係は「許婚」だった――。西洋のモダンな文化が広がり始めた大正時代。華やかで活気に溢れたその空気の中で、「文治さま」「許婚殿」と呼び合うふたりは、18の歳の差を超え、ゆっくりと愛を育んでいく。*1
おすすめマンガと言われて、思いついたのがこのマンガ。
最近漫画を買う欲が無くなっていた私が、試し読み1話を読んで胸がキュンキュンしてしまい、我慢できずに買ってしまった漫画です。
あらすじを読んで、年の差18歳ってやばいだろ…と思われるかもしれないし、実際私も年の差やばいな…って思った。でもキュンキュンきたんだ。
何がキュンキュン来たのかというと、12歳の姫子さまの年上の男性、文治さまに対する『恋心』が可愛らしかったんだ。(キャラがさま付けで呼んでいるもので、一読者の私もついつい二人のことはさま付けで呼んでしまいます)
あらすじだけみると、ロリコンか?と思われてしまうかもしれない文治さまだけど、18歳年下の姫子さまのことを子供だからと邪険にしたりからかったりはせず、優しく見守ってくれている。一人の人間として扱ってくれている感じがする。
家同士で決められた結婚相手である姫子さまのことは結構気を遣っているんだな…というのが読み進めていくうちにわかっていく。
この漫画、あまり説明がない。
キャラクターの背景は作中の描写や台詞から、心情は表情でなんとなくわかる。絵で見せているという感じ。
大正時代の生活ぶりも細かく描き込まれている。背景や小物もきちんと細かく描かれていて、見ていてほれぼれしてしまう。
この漫画、ストーリーは何気ない日常を描いていて大きな事件は今のところ(単行本2巻の現在)では起こっておらず、胸キュンし口元ニヤニヤ状態で読める。
……のだけど、そこはかとなく不穏な気配も感じている。
例えば、どうして18歳も年の差がある二人が婚姻関係を結んだのか…という説明がまだされていなかったりする。
説明が無くても、姫子さまの家は女中さんが4人もいて「いいところのお嬢さんなんだな」というのがわかるし、そういう時代だったからと何となく納得できるのだが、何か理由があるのかもしれない。
また文治さまもまだ謎が多い。この人、目の下のクマがすごいのだ。
作中では姫子さまや女中さんたちと一緒に眠るシーンがあるのだが、この文治さま一人だけ寝ている描写がされていない。不眠症だったりするのだろうか…?
そんな文治さまは軍人で少佐という立場にいる。その後の歴史を踏まえると、今は一緒にいる二人だけれど、離れ離れになるような気配も感じてしまうのだ。
姫子さまの文治さまに対して赤面している姿や、女中さんたちと仲良くやっている姿、できないことをできるようになろうとするひたむきな姿勢を見ていると、……このままずっとこのやりとり続いてほしいな…と思ってしまう。
3巻、早く出ないかな。次の巻が楽しみです。