インドア日記

ひきこもり系オタクのアウトプット置き場。アニメ、ゲーム、読書感想など。思いついたことを書いたりしています。

漫画感想『はいからさんが通る』

 

はいからさんが通る 新装版(1) (デザートコミックス)

 

 なんで今になって『はいからさんが通る』を読んだのかと言いますと、アニメ映画版を見たのですよ。前編を。家に母が子供の頃買い揃えた原作があるのですが、絵柄も古いしノリもついていけないかもしれないから、キャラデザが現代風に変えたっぽいアニメ映画版を見たほうがストーリー追いやすいかな…と思って。

 

Chapter.2 劇場版 はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳~

 

 それで、見てみたんですけど、ん~、ダイジェスト感があって前編で挫折……。

 それなら漫画を見る方がわかりやすいのでは?と原作を読んでみたのですが、原作を読んだ方が面白かったですね。

 

 大正時代を舞台にしたストーリーなんですけど、少女漫画の王道展開がめちゃくちゃ詰め込まれていて、「王道展開の教科書か…!?」と思ったりしました。

 

 

・ヒロイン(紅緒さん)にとって、ヒーロー(少尉)との第一印象は最悪。

・少尉との結婚を親から決められて逆らえない展開に。最初は嫌われようと画策する。でも本人も少尉を段々好きになっていく。

・しかし自分の気持ちを伝える前に少尉と離れ離れに。

・前線にいった少尉の死亡。

・少尉のそっくりさんが妻(ラリサさん)と一緒に日本に亡命してくる。そっくりさんは実は記憶喪失になった少尉本人。

・病気なラリサさんのために身を引く紅緒。自分に好意を持っている別の男(編集長)と結婚しようとするが、関東大震災に合い、結婚式が崩れる。

・なんだかんだあって少尉と結ばれハッピーエンドに。

 

 という流れ。第一印象最悪→でも惹かれてしまう。という展開や、告白できずに相手が死ぬ。記憶喪失の相手に新しい恋人が出来てしまう。結婚式ぶち壊し…といった展開の今でいうベタベタな流れに「少女漫画の教科書かよ…!!」と感動しました。

 他にも、男性キャラが、正統派王子さま系。可愛い弟系。一匹狼系。クールで女性嫌い系とポイントを押さえており、なんだかんだ主人公のことを気に入り好きになります。

 

 それでこう箇条書きしてみるとすごく波乱万丈、いや怒涛な展開なのですけど、けっしてシリアス一辺倒ではなくて、コメディで進んでいくんです。

 だから昼ドラを見ているようなドロドロ展開ではないので、すごく読みやすかった。

 

 

 胸キュンと真面目なシリアスとコメディがごちゃごちゃになったようなストーリーで、場面の展開がコメディで進んでいくところもあったので、漫画だと「これが昭和のマンガのノリかあ」と読めるのですが、逆にこれをキャラデザを今風に変えた映画版だと、昭和のノリが違和感を覚えるんじゃないかな…と思ってしまいました。

 コメディを排除して真面目にストーリーを展開させようとしても、シリアス度が高まってしまい「はいからさん」じゃなくなる気もするし。難しくないかな~。

 前編しか見てないんですけど、映画版で少尉の危機に遠く離れた紅緒さんの鼻緒が切れるというシーンがあって「うわあ…めっちゃベタ…」と思って原作読んだら、原作は少尉の写真立てを落としているんですよね。

 なんで2017年公開の平成版の映画が、昭和の原作よりもベタな展開しとるねんとツッコミました。(うろおぼえなので、間違っていたらすみません)

 

 

 ここからは個人的な感想で、忍さんはメインヒーローなのはわかっているし、おそらく子供の頃の私が「はいからさん」を読んでいたら忍さんを選ぶだろうなとも思うし、少女たちも紅緒さんと忍さんを応援していたと思うのですが、

 大人になった私が読むと「編集長で良くね? いや編集長良くね?」と思ってしまうんですよね~。

 編集長、すごくいい男ですよ!

 忍さんがいなくなった後、華族な金銭感覚で崩壊しそうな家を守るために働きに出た紅緒さんを雇う。

 自分の実家が紅緒さんの家を借金代わりに持っていこうとするので、自分が家に帰ることを条件にあきらめさせる。(本人は家に帰りたくないのに。紅緒ちゃんのために)

 良い人すぎない? 

 こんなに尽くしてあげているのに、忍さんがいなくなった紅緒さん支えてるのに、結婚式なかったことにされるんだよ。

 しかも番外編で38歳の若さで独身を貫いたまま亡くなった…と書かれていたり。番外編でも紅緒ちゃんを引きずっている描写があったり。

 紅緒さんと忍さんの子どもの名前が「秋星」だったり(編集長の名前は冬星)、なんで似せた名前つけたんだろ。恩を感じていたのかな? なんか…解放してあげなよ…と思ったりしました。この感覚は当時の読者の感覚と違う物なのかな…?

 

 

 あと私が意外だなあ…と思ったのが、紅緒さんの友人の環さん。

 外見が縦巻きロールという令嬢スタイル。ひそかに慕っていた忍さんが紅緒さんと婚約することになった…という紅緒さんの恋のライバルポジションになるかとおもいきや、サバサバしており、すっと身を引いております。そして紅緒さんとは友情を続けていく。いい人…。

 この人の「殿方に選ばれるのではなく、私たちが殿方を選ぶ」というのが、作品の重要なテーマだったりするのかな?

 

 

 ベタベタな展開なストーリーだけど、大正時代という歴史背景がストーリーに組み込まれて面白かったです。意外と歴史や小ネタが勉強になったところもありました。半ドンの由来、「はいからさん」で初めて知った…。今じゃ書くのが難しいようなノリも面白かったです。