インドア日記

ひきこもり系オタクのアウトプット置き場。アニメ、ゲーム、読書感想など。思いついたことを書いたりしています。

映画感想『若おかみは小学生!』 

 

 

 

若おかみは小学生!

 

 少し前に、ネットで評判になっていたから見てみた。逆に言うと、ネットの評判を見なかったら子供向けのアニメだと見ていなかったと思う。なので子ども向けだけども大人が見ても『出来の良い』映画なのだろうな…という印象で軽い気持ちで見始めたら、感情が大変なことになってしまった。涙腺崩壊してしまったのである。見終わった後、人に簡単にストーリーを説明しようとしただけで感極まって涙がこみ上げてきた。最近、年だから、涙腺緩んでいるんだよね…。それにしても、である。

 個人的には、感動が売りの下手なストーリーよりも泣けると思った。

 

 

※ネタバレ注意。

 

 ストーリーを簡単に書くと、

 交通事故で両親を亡くした主人公のおっこちゃんが、祖母が経営する温泉旅館に引き取られ、若おかみとして働くことになる。おっこちゃんだけに見えるお化けたちと協力しながらお客さんの相手をして成長していく……という小学生の女の子の成長物語。

 その中で、若おかみとしての成長を通しておっこちゃんは両親の死を乗り越え、おっこちゃんの成長を受け、お化けたちも成仏し生まれ変わることを決断し、おっこちゃんとお化けたちはお別れするという結末で、美しいストーリーだった。

 

 

 序盤、おっこちゃんはまだ両親の死を実感できていないように見えた。

 落ち込み悲しんで涙しているシーンは無い。いきなりのことで実感が湧かないのかもしれないし、いきなり環境が変わり若おかみとして頑張らないといけないから、悲しんでいる暇も無かったのかもしれない。

 時折、おっこちゃんは両親の幻影を見て「やっぱり生きていたんだ」とか両親のことを「まだ生きているような気がする」ということを言っている。 

 そんな頑張っているおっこちゃんの姿、そしてまるでまだ生きているかのような両親の幻が挟み込まれて、それだけで、もう年とった自分はウルウルきてしまった…。

 

 映画で、おっこちゃんが対峙するお客さんでクローズアップされているのは、①あかねくん、②グローリー水領 ③交通事故のとき車にぶつかってきた運転手と家族…である。

 

① あかねくんは母親の死で悲しみひねくれていて、おっこちゃんが若おかみの仕事で元気づけてあげた。

 

 ここで思ったことって、両親の死の悲しみを引きずらず前を向いているおっこちゃんはすごく立派…なんだけど、あかねくんのように悲しんでもいいんだよなあ…ということ。ひねくれる可能性だってあったということ。でもそれはそれで自然な反応だと思うのだ。

 前を向いていくことも大事だけど、人間悲しむときに悲しんでおかないとなかなか消化できず残ってしまうものだからだ。そういう意味ではちょっと、おっこちゃんが危なく見えた。

 

② グローリー水領とは若おかみとしての仕事を通じ仲良くなったことで、「気晴らし」として買い物に付き合う。そのとき通った道路で交通事故のフラッシュバックが起き苦しんだものの付いてきたウリ坊やみよちゃんのおかげで乗り切り、買い物を楽しむことができた。

 この人の役割は、おっこちゃんから「若おかみ」としての役を一旦外したことにあると思った。元気に見えて、本人自身も元気で働いているが、やっぱり両親の死という傷は当たり前だけど残っているのだ。それを出会ったお化けたちが支えてくれた。

  この辺りから、お化けたちの姿が見えなくなっていくのは、おっこちゃんが「若おかみ」として成長し、お化けたちの助けがいらなくなってきたからかな~と思う。

 

 

③ お世話したお客さんが、両親が死んだ事故の時のぶつかってきたトラックの運転手だと知り、両親の幻からも別れを告げられてしまう。(見守っていた霊だったのだろうか?) 「一人にしないで」とウリ坊やみよちゃんを呼ぶも見えなくなっている。

 そんなとき現れたのはグローリー水領だった。彼女に励まされ、おっこちゃんはお客さんに「花の湯はどんな人でも受け入れる」「自分は若おかみだから」とお宿に泊まることを受け入れる。

 

 このお客さんたちは事故を引き起こした直接の加害者ではないものの、事故関係者であるということ。正直、ここまで描くんだ…と思った。つらい。

 

②ではお化けたち死者たちのおかげで、両親の死につながることを乗り越えることができたおっこちゃんだが、③では、若おかみとしての仕事でつながった生者であるグローリー水領の支えで、逃げずに立ち向かって受け入れている。

 

 私もさあ、辛い展開に正直「助けて、グローリー水領…!!」って心の中で叫びましたよ。そしたら「胸騒ぎがした」とやってきてくれたんですよ。占い師ってすごい。痺れました。

 

 この時点で、もう死者たち(両親の幻、ウリ坊、みよちゃん)の役目は終わってしまったのだ。

 お化けの出会いで始まり、お化けたちとの別れで終わる。彼らは生まれ変わって旅館に訪れることを告げて、物語は終わる。

 

 ……という美しい構造でした。

 

 

  あまり気負いせずに見たので、まさか涙腺崩壊するとは思わず、感情が大変なことになった映画。他にもキャラクターが良くって、悪役令嬢のようなライバル、まつきちゃんが出てくるけど、彼女しっかりしているのだ…。本当に小学生か…!?というレベルで。言っていることも正論だし、助けてくれるし、不快感が無くてびっくりした。

 

 見てよかった映画でした。