インドア日記

ひきこもり系オタクのアウトプット置き場。アニメ、ゲーム、読書感想など。思いついたことを書いたりしています。

映画感想『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

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 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのアニメは皆に見て欲しいとオススメできますが、一気見することはオススメできません。なぜなら、体中の水分が吸い取られるからです。

 …と、実際同アニメを一気見し、1話ごとに泣いて干からびるかと思った経験者が書き残しておきます。

 そんな私ですが、とうとう完結篇であるこの映画を見たので感想を残しておきたいと思います。(アニメシリーズと外伝は視聴済みです)

 

 

 私がテレビシリーズを見たときは、映画公開前の再放送で、そのときのCMで少佐が生きているっぽい雰囲気が出ていたので、テレビシリーズの最終回で二人はなんやかんやあって再会するものだと誤解していました。

 なので、再会…というよりも少佐は死んでいるで終わったことにビックリして、同時に二人の再会が見られるとしたら見たい(…でも少佐どうやって生き残ったの…)。再会して、ヴァイオレットちゃんが幸せになるところ、めっちゃ見たい…と思わせられました。

 この映画はポスターでもわかるとおり、ヴァイオレットちゃんが少佐に再会する物語です。

 

 ヴァイオレット・エヴァーガーデンというアニメは、テレビシーズン版では

 戦場で育ち感情を知らない人形のような少女が、「あいしてる」と敬愛している存在から言われ、その意味を知るために自動手記人形として働き、「あいしている」を知るという物語です。

 映画版では、

 自動手記人形として人々の思いを代筆していくことで「あいしている」を理解できるようになった少女が、愛している存在に再会し「あいしている」と伝える物語だと思っています。

 

 テレビシリーズから感じていたことですが、この物語は「なんとなく展開が読める」という王道な感動ネタでも(例えば、死ネタでも)匠の技を使って、視聴者の涙腺を刺激します。「泣け! ほら泣け!」と押しつけがましくなく、こちらの感情を自然に盛り上げ目頭が熱くなってしまうのです。それはこの映画版でも同じでした。

 

 私は、この映画版はすごく良かったな…と思っている側の人間です。文句もありませんし、見て良かった…と思いました。

 

 でも私は一つだけ残念に思っているところがあって、それはヴァイレットちゃんが少佐から「会えない」と拒絶され、ユリスの仕事を通して立ち直り、会えないままでも島から離れて帰ろうとするシーンです。

 ギルベルト少佐はヴァイオレットちゃんの手紙を読んで彼女を追いかけ、ヴァイオレットちゃんも少佐の姿を見て船から海に飛び降り、二人は浜辺で再会を果たします。

 めちゃくちゃいいシーンです。

 

 でも私個人としては、そのまま一旦郵便社に帰れば良かったのにな……と思ってしまいました。

 これは決して二人が再会して欲しくないからこんなことを思ったのではなく、ギルベルト少佐のほうが郵便社に訪れ、ヴァイオレットちゃんと再会して欲しかったと思ってしまったからです。

 なぜかというと、ギルベルト少佐を扉越しに再会したときのヴァイオレットちゃんは、自動手記人形としての彼女ではなく、昔の命令を待つ人形のような彼女に戻ってしまったように見えたからです。

 その後拒絶された彼女は、自動手記人形の仕事のおかげで立ち直ることが出来ました。これはテレビシリーズでも、自分が「燃えている」ことを自覚した彼女が死を選びそうになったとき、自動手記人形としての交流がヴァイオレットちゃんを支えたのと同じです。

 島を出ると決めたときの彼女は、自動手記人形として一人の人間として成長した彼女に戻っていました。

 

 それが、ギルベルト少佐の姿を見て飛び降りてしまったため、このときのヴァイオレットちゃんが「昔の少佐の命令に依存をしていた頃の人形のような彼女」なのか「自動手記人形として自立した彼女」なのかどっちなのかわからなくなってしまったんです。

 シーンとしてはめちゃくちゃ良いシーンだったのに、自分の中でこんな感情が出てしまったので、没頭できなかったのが悔しかったです。

 だから一旦二人は別れて、少佐はヴァイオレットちゃんがどこで働いているかわかっているんだから郵便社に会いに行って、そこで昔の「少佐と部下」という関係ではなく互いに一人の人間として再会して欲しかったな・・・と。

 自分のわがままを言えばこんなことを思ってしまいました。

 

 

 自分はこう思ったぐらいだったので、映画としてはすごく良かったです。

 映画では少佐と再会して、ヴァイオレットちゃんは自動手記人形を引退し一視聴者としての自分は寂しく思ったりしたのですが、

「あいしてる」を知らない少女が自動手記人形として働くことで「あいしてる」を知り、「あいしてる」を伝えた。

 ・・・という話の流れなので、彼女にとってみたら、自動手記人形の役目は終わったんだな・・・と思ってしまいました。

 

 作品名が主人公の名前というのも、ヴァイオレット・エヴァーガーデンという女の子の物語だから・・と、書いてしまえば単純な理由ですが、映画まで通して見ると納得してしまいました。