映画『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』
疲れてんのか?
と聴かれたら「うん」と答える成人済み人間だけど、癒やしを求めてこの映画を見たわけではなく「泣ける」「感動した」という感想を聞き、「すみっコぐらしで泣ける・・・ってどういうコト・・・!?」と思い見てみたのだ。
ストーリーとしては、すみっコたちが謎の絵本に吸い込まれて、そこで迷子のひよこ(画像中央の灰色の子)と出会う。すみっコたちはバラバラになり物語の役割を演じる羽目になりながらも、ひよこの居場所を探していく。
・・・というもの。
すみっコたちが可愛い。
自分はなんとなくすみっコぐらしのグッズをぼちぼち買っているので、少しはキャラクターのことがわかるのだけど、知らない人が見たら「お前、○○やったんかい」と序盤のキャラクター紹介で突っ込める。
しろくま、ねこ・・・は見た目でわかる。
とんかつの残り物とかエビのしっぽ
かっぱ・・・と見せかけてペンギン・・・いや、やっぱりカッパ。
実はネッシーらしいけど正体がバレると危ないので隠している、とかげ・・・あたりは説明がないとわからない。(かたつもりも、からをかぶったなめくじ。偽つむり)
そんなすみっコたちが絵本に吸い込まれて、ドタバタすることになる。
すみっコたちは喋らない。セリフは頭上にひらがなが浮かんでいて、それをナレーションのいのっちが代弁してくれたりする。
その絵本の冒険で、絵本の中で出会った迷子のひよことすみっコたちは絆を深めていく。
正直に言って、中盤ぐらいまでは「感動する」って聴いたけど、すみっコ可愛いぐらいしか感想持てないな・・・と思っていた。
しかし、ひよこの正体がわかったラスト当たりで、皆が「感動する」と言った理由がわかった。
以下、ネタバレ
ひよこの正体はみにくいアヒルの子の白鳥のひな・・・ではなく、
絵本の白紙のページに誰かが書いたらくがき。ページの中には一匹しかいないので、ずっと寂しかった。
すみっコたちは仲間になることを提案したが、絵本の世界の住人であるひよこは外の世界には行けないということがわかる。
正直、正体がわかってからラストまでの展開はめっちゃ読めたし、実際予想通りの展開を見たのだが「え? これ? 子ども向けですよね??」とびっくりしてしまった。
いいじゃん! ご都合主義でもひよこを外に出して皆と仲良くさせればいいじゃん!
・・・と思ったのだが、そうはならなかった。
子ども向けとはいえ、子どもだましでは面白くならないのだろう・・・。
外につながるための穴は天井付近に現れ、すみっコたちは穴に近づくために天高く絵本のパーツを積み上げて塔を作っていく。
いざ帰ろうとしたとき、塔が崩れそうになるのだが、一人向こう側に行けないと気づいたひよこが塔の崩壊を止めようとする。
「お前たち、行け! 俺はこの世界の住人だから、どうせ向こう側には行けない。でも、もう寂しくないぜ・・・! お前たちとの思い出があるからよ・・・!!」
というひよこのセリフが聞こえてくるようだった。
(注:ひよこは上記のセリフを実際に言っているわけではありません。上記のセリフは書いている人が感じたセリフです)
まさかすみっコぐらしでそんな「オレに任せてお前たちは行け・・・!」展開が来るとは思っていなかった。
ラストどうなるか。ひよこはどうなるのか、全部書くのは止めておきます。無粋になっちゃうから。
そんなわけでこの映画を見て「感動した」といった理由がわかった。
私は感想を見て「どんなもんかな?」と見た人間だったので「ふむふむ、なるほど」と受け止めることが出来たけど、感想を知らない人が見に行ったらびっくりしたんじゃないだろうか。
すみっコたちは、偽つむりは戻れても、絵本の世界で拾った偽つむりのカラは向こう側に行けないのを見て悟る。
このアイテムにはそんな意味があったとは、このリハクの目を以てしても見抜けなかった・・・・・・と言いたいところだが、それはこの映画を「子ども向け」だと思って侮っていたからだったのだと気づいた。
子ども向けだといって、侮るべからず
そう教えられた気分でした。